下肢静脈瘤外来・
足外来について
下肢静脈瘤は、足に太く浮き出る静脈が特徴です。静脈弁がうまく機能せず、血液が逆流し停滞するために起こります。むくみやだるさ、ほてり、足がつるなどの症状が起こります。
足の不快なむくみや腫れは、静脈瘤以外にもリンパ浮腫や深部静脈血栓症などの病気でも起こります。
下肢静脈瘤外来・足外来では、下肢静脈瘤の診断とレーザー治療を含めた治療、その他の足の不快な症状の鑑別診断と治療・生活指導を行っています。
足の不快な症状の治療には幅広い知見が必要であり、心臓血管外科専門医・循環器専門医・脈管専門医ならではの治療を提供いたします。
下肢静脈瘤とは
足の静脈が太く浮き出ているものを下肢静脈瘤といいます。静脈瘤は太さによって次のように分類されます。
「伏在(ふくざい)静脈瘤」は、最も太く、外来にみえる患者さんの多くがこのタイプの静脈瘤です。
太さが1〜2mmくらいの静脈が網目状に拡張しているものを「網目状静脈瘤」、太さが1mm以下でクモの巣状に広がる「クモの巣状静脈瘤」と分けられます。
下肢静脈瘤の原因
足の静脈には深いところを走る深部静脈、皮膚の表面に近い所を走る表在静脈(大伏在静脈、小伏在静脈)、深部静脈と表在静脈をつなぐ穿通枝があります。
静脈の血液が心臓まで戻ることができるのは足の筋肉ポンプと静脈弁(逆流防止弁)があるためです。静脈弁の働きがうまくいかないと血液が逆流し鬱滞するため静脈が拡張して静脈瘤ができます。
下肢静脈瘤の症状
静脈瘤があっても症状のない人もいますが、静脈瘤のある方は足に血液が停滞するため『足がむくむ、だるい、重い、ほてる、つる』などの症状がでるようになります。
さらに静脈瘤が進行すると皮膚炎、色素沈着(しみ)をみとめ、痛みを伴う血栓性静脈炎や皮膚潰瘍を起こすことがあります。
静脈瘤のできやすい人
女性に多く、妊娠や分娩をきっかけに起こります。立ち仕事に従事する人に多くみとめられます。
遺伝的素因もあり親や兄弟に静脈瘤がある人の方が生じやすく、年をとるとともに頻度は増加します。
その他の足の病気
足のむくみや腫脹、痛みなど不快な症状をおこす病気には下肢静脈瘤以外にも、リンパ浮腫、深部静脈血栓症、閉塞性動脈硬化症やむずむず足症候群など様々な疾患があります。
- 1.深部静脈血栓症
- 深部静脈血栓症は足の深部静脈に血栓(血の塊)ができる疾患で、足の腫脹と痛みを生じます。血栓が肺に飛んで肺梗塞を起こすことがあります。
肺梗塞は息苦しさや呼吸不全を生じ、人工呼吸器や人工心肺など高度な医療による治療が必要になる場合もあります。深部静脈血栓症は薬(ピルや一部の骨粗鬆薬など)の副作用や座りっぱなし(エコノミークラス症候群)などが誘因となり、軽症例ではふくらはぎの軽い痛みだけの場合もあり注意が必要です。
- 2.リンパ浮腫
- リンパとは血管に戻れなかった水分がリンパ液となりリンパ管を通って静脈に戻る流れで免疫機能と排泄機能を持っています。
リンパ浮腫とは何らかの原因でリンパの流れが障害されて起こります。
原因としてはリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍の摘出術後、放射線治療や炎症、原因不明の場合もあります。
治療法は運動療法、圧迫療法、薬剤などと感染予防のスキンケアが中心で、重症の場合は手術(リンパ管静脈吻合)を行う場合もあります。
- 3.レストレスレッグ症候群
(むずむず足症候群)
- 夜眠ろうとした時や、じっとしている時に足の内側から虫が這うような不快感が起こり、足を動かすと症状が和らぐという特徴があります。
神経伝達物質のドパミンの働きが悪くなったり、鉄分の不足が原因となって起こります。薬物治療が可能で、睡眠障害と関連している場合もあります。
- 4.骨盤内鬱滞
(うったい)症候群
- 夕方や長く立っていると下腹部の張りや片側の腰部、骨盤の痛みを生じます。
骨盤内の静脈(卵巣静脈、内腸骨静脈)の逆流で生じ、しばしば下肢静脈瘤を合併します。
閉経前の女性に多く見られ、カテーテルによる塞栓術で治療できます。
専門医以外にはあまり知られていいないのが問題です。
- 5.運動不足によるむくみと
夜間頻尿
- コロナ禍で運動不足が問題となっていますが、運動不足で足を動かさないと足の静脈から水分が浸み出しむくみを起こします。
むくみは足のだるさや重さを生じるだけなく、夜寝た後にむくんだ足の水分が尿となって出るため、夜間の頻尿を起こすことが知られています。
運動不足による夜間頻尿は運動をすることですぐに改善されます。
前立腺肥大や過活動膀胱の可能性もあるので運動しても症状が続く場合は医療機関に相談してください。