当院では腎臓内科専門医としての信頼を背景に、協力施設である近隣の病院、大学病院等と密接に連携を取りながら、腎不全に至らないようにしていくことが腎臓内科医としての使命です。しかし、最適な治療をしていても腎不全に至ることもあります。透析導入になったとしても腎臓内科の治療は終わりではなく、透析医療が必要になったあとでも循環器内科、腎臓内科と透析科専門医だからできる目線で引き続き患者さんの治療を継続してまいります。
糸球体腎炎
糸球体とは、腎臓の中で最も大事な器官のひとつでここに何らかの免疫異常をきたすことで炎症を起こします。大きくわけて急性、慢性、ネフローゼ症候群、急速進行性糸球体腎炎などです。以前では透析導入の第一位の原因でしたが近年ではその割合は減少してきております。それはかかられている方が減った訳ではなく、早期発見がされるようになったことや、治療がある程度確立されてきたことが寄与していると考えられます。初発の症状は血尿や尿蛋白が一つのサインとなりますため腎機能障害を指摘されましたらもちろんですが、検尿異常を指摘されましたらぜひ腎臓内科におかかりください。
糖尿病腎症
日本でも最も透析導入になる原因の病気です。まずは糖尿病の管理をしっかり行うことが大事で、目標としては日本人ではHbA1cは6.5~7.0%以内とされております。もちろん食事療法、運動療法で達成出来る方は6.5%以内を目指しましょう。治療をされていても腎臓の機能が進んできてしまった場合には、治療内容が腎臓の保護の治療+腎臓の失われた機能を助ける治療を同時に行っていかねばなりません。また、腎臓の機能の程度により薬の効果が思ったより強くでてしまい副作用が出現しやすいこともありますので要注意です。診察時には他院で出されているお薬も必ず教えてください。
多発性囊胞腎
両方の腎臓にできた多発性の嚢胞が徐々に大きくなり、進行性に腎機能が低下する、最も頻度の高い遺伝性疾患です。多くは成人になってから発症し、40歳から頃から透析導入となり70歳までに約半数が透析を必要とします。高血圧、肝嚢胞、脳動脈瘤など、全身の合併症もあり、その精査を行うことも大切です。以前ですと、疾患特異的な治療が確立されていませんでしたが、最近では囊胞の拡大を抑え腎不全の進行を抑える薬も開発されています。その際にはできるだけ腎機能が悪くなる前に治療を開始することが望まれます。ただ適応となる条件があることや、通常の内服量の4倍~8倍量となるため副作用がでる可能性があります。そのため指定医での処方が必要とされております
※この治療は、指定認可を受けた医師のみ実施できます。当院院長は指定認可医師です。
腎代替療法(血液透析、腹膜透析)
腎代替療法には血液透析、腹膜透析、腎移植の3つがあります。当院ではまず、腎代替療法外来として正確な情報を提示していきます。血液透析をご存じの方は多いのですが、腹膜透析自体を知らない方も多くいらっしゃるのが現状です。まずは3つの治療法があることを知っていただき、その上で生活の状況、今後どういった治療をうけていきたいか、ご家族の背景などを踏まえたうえで最適な選択肢を一緒に考えていきたいと思っております。(血液透析の場合はベット数に限りがありますのでお早めにお問い合わせください。)腹膜透析の場合は実際にトレーニングデモを触ってもらいイメージをつけていただきます。血液透析の場合は施設内の見学をしていただき少しでも不安を和らげるようにしたいと考えております。